技術・人文知識・国際業務ビザの不許可事例をチェック!不許可にならないために気をつけるポイントとは

日本で働くための就労ビザは現在約20種類もあります。その中でも特に審査基準が曖昧で分かりにくいのが技術・人文知識・国際業務ビザの特徴です。しかしオフィスワークに従事したい外国人にとって技術・人文知識・国際業務ビザは避けて通ることはできません。
今回は技術・人文知識・国際業務ビザの不許可事例を確認しながら、不許可の理由と気をつけるべき審査ポイントをご紹介します。これから技術・人文知識・国際業務ビザを申請しようとしている方はぜひ最後までご覧ください。
【審査のポイント】技術・人文知識・国際業務ビザが不許可になる理由
技術・人文知識・国際業務ビザの申請は以下の4つの要件をクリアする必要があり、どれかが欠けると不許可になる可能性が高いです。
外国人の学歴要件
大学・大学院(日本の学校でも海外の学校でもOK)、専門学校(日本の学校のみOK)を卒業している必要があります。学歴要件を満たしていない場合は従事する業務に対して10年以上の職歴がある(国際業務の場合は3年以上の職歴)という要件を満たすか、規定された試験に合格している必要があります。
外国人の素行要件
現在他のビザで日本に住んでいる外国人の場合は、素行要件つまり「これまで日本のルールを守りビザで定められた活動を行ってきたか」がチェックされます。具体的には期限内の納税がされているか、犯罪歴・交通違反がないか、留学生であれば出席率(ビザで定められた活動)などが判断されます。
企業の経営状況要件
提出された決算書や事業計画書をもとに、企業が外国人を継続的に雇用して給与が支払える経営体制・財務状況であるかが確認されます。
企業の給与支払い要件
外国人従業員の給与が不当に低くないかの確認です。日本人と外国人を同時期に雇用する場合、同じ業務であれば給与は同額である必要があります。
ここからは、より具体的な不許可事例を見ていきましょう。
具体的な不許可事例と学ぶべき対策
事例1:大学での専攻分野と職務内容の関連性が立証できなかったケース
具体的な状況
日本の大学で経済学を専攻し卒業した外国人のAさん。大学を卒業後、日本のIT企業からシステムエンジニア候補としての内定を得て、技術・人文知識・国際業務ビザ(技術分野)への変更申請を行いました。その会社はAさんのように理系の出身者だけではなく、文系出身者も積極的に採用しており社内研修でエンジニアの専門スキルを習得させる計画でした。
不許可となった理由の詳細
入管からは、「Aさんが大学で専攻した経済学と、従事しようとするシステムエンジニアの業務に必要な情報工学等の専門知識・技術との間に、直接的な関連性が認められない」として不許可となりました。
確かに経済学部出身者でもシステムエンジニアとして活躍する人はいます。しかし技術・人文知識・国際ビザの審査においては、大学での履修科目や卒業論文から今回の仕事で必要になる情報工学等に関する基礎知識を習得したことを具体的に証明する必要があります。単に「本人の能力が高い」「入社後の研修で習得する」という企業側の説明だけでは、学歴要件を満たしているとは判断されません。
申請者が経済学の知識をIT業務のどの部分で活かせるのか、あるいは履修した経済学の科目の中に情報処理や統計学などITに関連する内容が含まれていたとしても、それが業務に必要とされる専門レベルに達しているかどうかが厳しく見られます。
この事例から学ぶべきポイント
学歴と職務内容の関連性は、技術・人文知識分野の最も基本的な要件です。専攻と完全に一致しない分野の業務に就く場合、大学の成績証明書や履修内容が分かる資料を詳しく分析し、業務に関連する科目を履修していたことを具体的に指摘する必要があります。
また卒業論文やゼミの研究内容が関連する場合は、その概要を説明する補足資料を作成することも有効です。もし大学の専攻だけでは弱い場合は別途専門学校で関連分野を修了していることなど追加の資料で証明をしていく必要があります。
事例2:会社の経営状況に安定性・継続性がないと判断されたケース
具体的な状況
外国人のBさんは、設立から1年未満の新しいコンサルティング会社から採用され、経営コンサルタントの仕事をするために技術・人文知識・国際業務ビザ(人文知識分野)を申請しました。しかし会社の資本金は法定の最低限度額であり、提出した決算書(または見込みの事業計画書)は、まだ十分な売上や利益が出ていない状況で不許可になりました。
不許可となった理由の詳細
入管からは、「受け入れ機関(会社)の事業の安定性及び継続性が十分であるとは認められない」として不許可となりました。外国人を受け入れる企業は、雇用契約に基づき継続的に申請者に給与を支払い、事業を維持していく能力が求められます。設立間もない会社や、直近の決算が赤字、あるいは債務超過といった財務状況が不安定な会社の場合、その経営の安定性・継続性が厳しく審査されます。
このケースでは、将来的な事業の見込みだけでは不十分であり、現時点での財務体力や具体的な資金計画、すでに確定している契約や受注状況などを客観的に証明できなかったことが不許可に繋がりました。
この事例から学ぶべきポイント
会社の安定性・継続性を証明するためには、単に決算書を提出するだけでなく、会社の規模や状況に応じた補足資料が必要です。特に中小企業や新しい会社は、税務署に提出した直近の「会社案内」、会社の事業内容を具体的に説明する資料、主要取引先との契約書、今後3~5年間の事業計画書、資金繰り表などを提出し、会社の信頼性や将来性を丁寧に説明する必要があります。代表者の過去の事業での成功実績や、自己資金以外の資金調達の目途なども、会社の安定性を示す要素となりえます。
事例3:仕事内容が技術・人文知識・国際ビザの活動に該当しないケース
具体的な状況
外国人のCさんは母国の大学で日本語を専攻し卒業しました。そして日本の貿易会社から「海外との連絡・調整業務」として採用され、技術・人文知識・国際業務ビザ(国際業務分野)を申請しました。しかし、会社が提出した職務内容説明書には、「海外からのメール対応、商品チェック、倉庫整理、簡単なデータ入力」など専門的な知識や判断を必要としない比較的簡単な業務が多く含まれていました。
入管からは、「仕事の内容が、『国際業務』として認められる、外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする専門的な業務に該当しない」として不許可となりました。
勘違いしやすいポイントなのですが国際業務ビザは、単に外国語を使う仕事であれば認められるわけではありません。例えば通訳・翻訳でも高い語学力と専門分野の知識を要するもの、海外の文化・習慣を理解した上での商品企画・開発、海外市場向けのマーケティング・広報などが該当します。このケースのように、語学を使う場面があっても、それが主に定型的な連絡業務や付随的な作業であり、専門的な判断や高度な国際的感性を必要としない単純な業務が主である場合は技術・人文知識・国際ビザを取得することはできません。
この事例から学ぶべきポイント
職務内容がビザの活動内容に該当するかどうかは、職務内容説明書だけでなく雇用契約書なども含め、提出する複数の書類から総合的に判断されます。
業務内容を説明する際は専門性や国際性がどこにあるのかを具体的に、そして明確に記述することが重要です。例えば「海外からのメール対応」一つとっても、それが定型的な受注連絡なのか、高度な技術仕様に関する質疑応答なのかで専門性が異なります。いかに従事する業務が技術・人文知識・国際ビザの範囲内であるかを論理的に説明する必要があります。
事例4:申請者本人の過去の入管法違反歴や素行に問題があったケース
具体的な状況
外国人Dさんは日本に留学ビザで滞在していますが、授業をサボりがちで出席率が非常に悪いです。今回日本の企業に就職が決まり、技術・人文知識・国際業務ビザの新規申請を行いました。しかし留学中の素行(出席不良)が原因で不許可になりました。
不許可となった理由の詳細
入管からは、「在留状況において、日本で行おうとする活動を継続する意思及び安定的、継続的な生活を送る能力を疑わせる特段の事情が認められる」として不許可となりました。つまり留学生は学校に通うことを目的にビザを取得しているのに学校に通わなかったのであれば、就労ビザを出しても仕事もサボるのでは?ということです。
これは技術・人文知識・国際ビザ以外のビザでも共通することで、ビザの目的に合った行動をしなかった場合に他のビザへの変更やビザの更新が難しくなります。他には、アルバイトの時間数をオーバーしていたり、離婚したのに配偶者ビザから変更しないなどが該当します。
この事例から学ぶべきポイント
過去に何らかの理由で在留状況に問題があったり不許可歴や退去強制歴があったりする場合でも、今後日本のビザが完全に取得できなくなるわけではありません。しかし審査がかなり厳しくなるのは事実です。
過去の経歴を正直に申告して、そうなってしまった理由や改善案を具体的かつ丁寧に説明する必要があります。こちらは個別の状況によってどのような文章や資料を提出すればいいのかが異なりますので、ぜひ専門の行政書士までご相談ください。
事例5:雇用契約の内容が不適正と判断されたケース(給与額や労働条件)
具体的な状況
外国人Eさんは日本のIT企業からシステム開発の仕事で内定を得ました。Eさんは大学院を卒業しており高い専門性を持っていると考えていましたが、提示された月給は同程度の学歴・職務経験を持つ日本人従業員と比較して明らかに低い金額でした。会社側は「まだ経験が浅いから」と説明しビザを申請しましたが、不許可になりました。
不許可となった理由の詳細
入管からは、「従事しようとする業務について日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることとしていると認められない」として不許可となりました。技術・人文知識・国際ビザでは、外国人労働者が不当に低い賃金で雇用されることを防ぐため「日本人と同等以上の報酬」であることが要件とされています。
これは、会社の賃金規程や同等の業務を行う日本人従業員の給与額、あるいは地域の相場などを基に判断されます。このケースでは、申請者のスキルや経験を考慮しても提示された給与が同等の日本人技術者の水準と比較して明らかに低すぎると判断されたため、要件を満たさないとされました。また、雇用契約書の内容(労働時間、休日など)が日本の労働基準法に違反している場合も不許可の理由となります。
この事例から学ぶべきポイント
雇用契約の内容、特に給与額は重要な審査ポイントです。外国人だからといって不当に低い給与を設定することはできません。会社側は、賃金規程に基づき、申請者の学歴、職務経験、従事する業務内容に見合った適正な給与を提示する必要があります。申請書類として提出する雇用契約書や労働条件通知書、会社の登記事項証明書、会社の案内、直近の決算関係書類、外国人雇用状況届出書の控えなどと矛盾がないよう注意が必要です。また、会社に同等の業務を行う日本人従業員がいる場合は、その方の給与額を証明する資料の提出を求められることもあります。
もし不許可になってしまったら?
ここまでは不許可の事例を交えてご説明しました。しかし申請が不許可になった場合はどうすればいいのでしょうか?
申請が不許可になった場合は、入管に不許可になった理由を聞くことができます。しかし不許可の理由はすべて教えてくれるわけではなく、複数個あった場合でも1つだけしか教えてくれないことも。
また不許可理由の中にはどうにか追加書類で挽回できるものと、どうにもできないものがあります。具体的には「本当は学歴と仕事内容が関連しているのに初回の申請でうまく説明ができておらず入管の審査官に伝わらなかった」という場合は専門の行政書士が追加資料を提出することで許可の可能性がありますが、「そもそも仕事内容が外国人の学歴と全然関連していなかった」という場合は別の外国人を採用したほうがよいです。
また仕事内容が単純労働だったため許可がでなかった場合でも外国人採用をすぐにあきらめる必要はなく、特定技能など別のビザであれば許可が出て自社で働いてもらえるかもしれません。
また仕事内容が単純労働だったため許可がでなかった場合でも外国人採用をすぐにあきらめる必要はなく、特定技能など別のビザであれば許可が出て自社で働いてもらえるかもしれません。こういった判断は専門の行政書士にお任せいただくのが1番ですので、不許可が出て困っている場合はぜひご相談ください。
まとめ:審査ポイントを理解し、追加資料で補強しよう
今回は技術・人文知識・国際業務ビザの審査ポイントを不許可事例を交えてご説明しました。不許可となる理由は様々ですが、本当は要件を満たしているのに入管に対する資料での説明がうまくできずに不許可になってしまう事例は非常にもったいないです。特に学歴と職務内容の関連性、会社の安定性に関しては厳しく審査をされるポイントです。
万が一、不許可になってしまっても入管で不許可理由を聞くことができます。その理由が解消できそうであればぜひ再申請に挑戦してみてください。しかし再申請の場合は一度目よりも厳しく審査をされる可能性があるため、専門の行政書士にご相談いただくことをオススメします。アジア人の在留資格・帰化を専門とするアンドレ行政書士事務所でも技術・人文知識・国際業務ビザの再申請に対応しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

アンドレ行政書士事務所/在留ビザ・帰化サポート錦糸町 代表行政書士
・日本行政書士会連合会(登録番号第25081551号)
・東京都行政書士会(会員番号第15812号)
夫がインドネシア人。自身も1年間インドネシアに留学。好きな食べ物はSoto Ayam。
メリット
Merit
ビザや帰化を行政書士に頼む
メリットって?

1時間も手間も最低限に
ビザ申請は書類の準備や手続きが煩雑で時間がかかりますし、ご自分で申請する場合は平日入管に行く必要があります。
しかしプロである行政書士に依頼をしてくだされば、皆さまは指定された書類を集めるだけ。
特に、お忙しい方や手続きに不慣れな方はぜひ行政書士におまかせください。

2ビザ取得や帰化の成功率アップ
ビザ申請は専門的な知識が必要です。
特に外国人のビザ申請や帰化を専門とする行政書士はビザ申請に関する豊富な知識を持っており、正確かつスムーズな手続きが可能です。
また過去の事例に基づくアドバイスや最新の法改正への対応もしているため、ご自分で申請するよりビザ取得の成功率がアップします。

3精神的な負担を軽減
ご自分でビザや帰化の申請をする場合は「自分のビザが許可になる可能性がどのくらいあるのか」が分からず不安になる方が多いと思います。
行政書士は今までの経験や知識から、あなたのビザが許可・不許可になる可能性がある程度予想した上で許可率を高めるためのアドバイスができます。
そのためご自分でするよりも安心感を持って申請ができます。
当事務所の強み
Strength
1
アジア人の
ビザ・帰化に強い

多くの行政書士事務所は、複数ある業務のうちの1つとして「ビザや帰化」に申請を行います。
しかし当事務所は「ビザや帰化」に専門特化しており、それ以外の業務は行いません。また国籍もアジア出身の方のみを扱っておりますので、ノウハウが他事務所に比べて圧倒的に溜まりやすいです。
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分かりやすい料金体系

明確な料金表をご用意しています。また違反歴・オーバーステイがあるなど、大きなペナルティや特殊なご事情がない限りはwebサイトに設置してある見積もりシステム通りのご料金となりますので安心してご相談くださいませ。
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日本中どこでも対応可能

事務所は東京都の錦糸町にございますが、オンラインのお打ち合わせが可能です。そのため日本中のどこからでもご相談いただけます。
※オンライン申請ができない種類のビザをご希望で申請の際に出張費が必要になる場合は、ご契約前にお伝えします。ご契約後に突然ご請求することはございませんのでご安心ください。